行ったことがないけど、釜山

自分と向き合う場所を作りたい
日日hibi 2024.04.22
誰でも

大切なあなたへ

今日でお手紙を書き始めて一週間が経ちました。一旦毎日送るのはここでストップして、毎週月曜の夜にお届けしたいと思います。

今日は私の将来の展望についてお話しさせてください。

35歳の時に自分の会社を作った時、私には大きな夢がありました。それは「人が心を解き放てる場所を作ること」という壮大なものでした。

自分でもどんな形にするのが良いかわかっておらず、カフェなのか、なんなのか…ずっと考えあぐねていました。茶道や華道に慣れ親しんでいた私は、短絡的に茶道教授になるかお花の先生になること、と考えましたが、現実はうまくいきません。

日本のそういった歴史ある流派は、教授になるまで10年以上の年月を要します。さらに、その道に入るとやれ研究会に参加したり、諸先輩方の顔を立てるためにお手伝いをしたり、ご指導という名の叱責をいただき続ける世界だというのも知っていました。その時点で、その道に染まるのは自分は難しそうだな…とキッパリ諦めました(笑)もちろん、先生のことは好きなので交流はいまも続けています。

台湾茶道の世界にはそういうものがなく、あまり形式ばっていない。さらに、形式よりも気や自然を大切にする世界に魅力を感じていました。ですが、今の私を鑑みると、実力がないというのがあります。お茶淹れの技術も経験も圧倒的に足りていません。

なんとかしてあの世界に自分もいたい。

そこで注目したのが、キャンドル(=蝋燭)の存在です。視覚優位になりがちだと、どうしてもお茶の本質や気を感じることが難しいということで、お茶席に蝋燭が取り入れられていることを知っていました。また、蝋燭は心の内側をも灯し、場の集中力を高める素晴らしさもあります。これなら私も何かできる!となったのが、キャンドルを作り始めたきっかけになります。キャンドルを通じて、自分の心を解き放ち自分と繋がれる時間を作って欲しい、そんな思いでキャンドルを販売し始めました。

そして今、その先の展望も少し見え隠れしています。それは、やはり「心を解き放つ場」を作ることです。

映画「マトリックス」を見たことがある方はわかるかも知れませんが、主人公のネオが冴えないサラリーマンから世界を救う救世主になる前、一人の預言者・オラクルに出逢います。彼女の部屋には「temet nosce」=「汝自身を知れ」という意味の言葉が飾られています。それは、彼女は預言者とされているけれど、本当に救世主になるかどうかを決めるのはネオ本人だという伏線です。

私は誰かに何かを教えるという事に憧れがありつつも、いまだに疑問を持っている部分があります。それはどんなことも最後を決めるのは自分自身だと思っているから。宿命はあっても運命は自分で決めるというのと一緒です。だから、教えるというよりも自分で気づく場所を作りたかった。それは、ティーチャーというよりガイドの意味が強いんですね。

それはどんな場所なんだろう、と想像を膨らませていたら、ある映画を見ていて、心象風景に近い場所を発見しました。それは韓国の「釜山」です。海を囲む山々の街。都会と自然が混じり合って、人の活気を感じる街。細くて急な坂道から海と街を見下ろし、自分の思いを重ねる。行ったことがないのに、ありありとそこにいる自分を想像できたんです。

釜山じゃなくてもいいけど、いつかあんな街で、「人が心を解き放つ場所を作る」それが私の将来の展望です。その場所ができたら、ぜひあなたとお話ししたり、時を過ごしたいです。

今日は今までで最長の長さだったでしょうか。(笑)

素敵な一週間でありますように。またお手紙を書きますね。

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